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[ジャックマイヨールを知って、ヨガを好きになったこと]

 人生を変える本があるとすれば、私にとってそれは、この一冊だったように思います。
「イルカと、海へ還る日」著者のジャック・マイヨール氏は、10代の頃心から尊敬し、今なお憧れてやまない人の一人です。彼について、彼の本について、明 るい印象を持つ人は少ないかもしれないけれど、私はこの人が見た世界を見てみたいと、本を読んだ当時と変わらず、今も強く思っています。

 息を止めて深海へ潜り、深さを競う潜水という競技で世界新記録を塗り替えたジャックマイヨールの体内で、ある特異な現象が起こっていることがわかりました。イルカやアザラシのような水棲の哺乳類が
潜水した時と同じ”ブ ラッドシフト”(血液の移動)が起こっているというのです。イルカのような海に棲む動物は、水の中で息が苦しくなったりしないように思うかもしれませんが、実際は人と同じで、息を止めて数分間泳ぎ、海面で息継ぎしながら生活しています。心臓がドキドキすると、肺の酸素を早く使いはたしてしまいます。ですから敵の攻撃を受けたりして動揺したイルカは息が苦しくなり、溺れてしまう事もあるのです。イルカやアザラシは酸素を出来るだけ使わないように、血液を心臓等大事な器官に集め、深く深く、リラックスします。心を落ちつかせ、瞑想のような状態になります。それが、ブラッドシフトです。

この本はジャックマイヨールのそれが特異体質によるものではなく、意識を変えるトレーニングによって生み出されたものであることが彼自身の言葉で記されて います。彼は、イルカの知性を信じて、イルカの言葉を理解するようになりました。イルカが持つ複雑で理性的な感情コントロールを人が学べば、あるいは、同 じように泳ぐことができるのではないかと考えました。私は、そのような意識のコントロールを別な言葉で呼ぶ方法を知っていると思いました。

 本文にそのように書かれてはません。し かしこれは”悟り”のノウハウを記した本だと思ったのです。そして、イルカはすでにその方法を知っていることになります。人が太古の昔から苦業の末にごく 一部の人が手に入れたような悟りの境地を、海に棲む哺乳類はすでに理解している事になります。人の常識に当てはめた知能の考え方が、実は歪んでいるのでは ないかと、人と動物の立場が逆転してもおかしくない事をこの本は教えてくれます。 ジャックは日本の禅やイ ンドのヨガの呼吸法を学び、ブラッドシフトを体得します。ついに、イルカのように泳ぐ人になるのです。

 インドに断食という文化があります。
ま た日本にも、断食、不眠、痛みに耐える修行というものがありました。その目的は欲望から意識を 遠ざける訓練ではないでしょうか。息を止めていることに慣れ、食べない事に慣れ、短時間睡眠に慣れる事で、必ずしもそれが継続して行われなくても、命をつ なぐことができる事を知るためではないでしょうか。それを知れば、必要最小限のエネルギーで生きてゆけます。酸素のないところで、パニックにならず、た だ、息を止めるという選択が出来るようになるでしょう。極限状態で生き残るのは、ただ息を止めた人です。それを野生動物はごく普通に選ぶことのできる知性 を持っているのではないでしょうか。 私がヨガに魅力を感じたのは、ヨガのスタイルが動物の知性を尊敬し、素直にそれを模倣しようとする、人の心を感じるからです。人が本当はもっと高度に理 性をコントロールできる生き物だとしたら、それは意識がもたらすものであるなら、ヨガを知る事は一つの選択肢であるように思うのです。


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ジャックマイヨールの本











ヨガの本

綿本 彰さんの本がオススメ。本の内容も良いけれど、一番のオススメポイントは錦本さん の落ち着いた低い声。岩盤浴のBGMのような静かな音楽と、錦本さんの低いささやき声の中で目を閉じると、催眠術にかかったような、深いリラックスを感じ ます。夢から覚めたような不思議な気分になる一冊。